WITH YOU

−Chapter 2−




二人ともエアカーでは終始無言だった。これからする事が頭の中を駆け巡っていたからかも知れない・・・・・。

そして進はある「過ち」を思い出していた。

それは謀反を起こしてヤマトで出発する前日の事だった。


進は考えていた。どうやってヤマトで一人出発しようかと・・・・・・。

今回の旅は前回と違って祝福されたものではない・・・・

前途も揚々たるものではなく別れになるものだと思っていた。

告白して・・・・恋人になって婚約までして結婚式まで後3日・・・・・・。

先日自分との結婚を嬉しそうに話していた愛しいユキ・・・・・・。

彼女を一人置いて謀反の旅に旅立とうとそれも彼女には言わないままに・・・・・・・。

進はどうやって別れて旅立とうかとそればかりを考えていたのだ。


ユキはユキでどうやってヤマトに乗り込もうかと思っていた。

愛する人がまた旅立ってしまう・・・・・・それも謀反を起こして・・・・・・。

乗組員名簿の中に自分の名前はなかった。

それは乗組員達が女である自分を労わってくれたからだとは判っている。

それでもユキは「ヤマト戦士」でいたかった。

だがその前にユキは進との結婚を夢見る乙女でもあったのだ。

女性として幸せになる・・・・・・・・・それは素敵な事なのかも知れない。

でも進とはあのイスカンダルへの航海で愛をはぐくみそして結婚しようとまで思った相手なのである。

だったら今回も共に行くのが一番だと思っていたからだ。

明日出発なのは真田達から聞いて知っていたので進は今日誘ったのだとユキは判っていた。


楽しそうに笑っていても二人の表情は冴えなかった。

それを進は勘違いしてしまったのだ。やはりユキは結婚したかったのだと・・・・・・・・。

その思いの違いが・・・・・・「過ち」へと繋がっていったのだった。

進は無理やりにユキをエアカーに押し込むと何も言わずに発進させた。

ユキが始めてみる顔だった。

始めて進を怖いと思った。男性として意識した始めての瞬間だった。

戸惑うユキを乗せたエアカーは滑るようにして高速を走り・・・・・ある場所へと入って行った。

そこはラブホテルだった。

進は駐車場にエアカーを停めると泣きだしそうなユキの手を引っ張って中へ入った。

出来るだけユキの顔を見ないようにしながらチェックインを済ませて室内へと・・・・・。

無論進も始めてだったし何も判らなかったが身体が勝手に動くのだ。

引っ張っていた手を引き寄せてユキを抱き締め震える唇に夢中でキスをする。

手は勝手にユキの身体を撫ぜ彼女の身体から服を脱がせた。

そのまま倒れ込むようにしてベッドへ押し倒して首から胸へと唇を動かした。

その時だった。

「イヤ・・・・・・・止めて・・・・・古代・・・・くん・・・・」

泣き声と共にユキの懇願する声がやっと耳に届いたのだ。

進はハッとして唇の動きを止めてユキの顔を見た。

怯えて泣く少女の顔・・・・・・そうさせた自分・・・・・・・・。

「・・・・・・・・ごめん」

それだけ言って離れるとすぐにユキは服をかき集めて着るとそこから立ち去って行った。

後は進だけが取り残されたのだ。

嫌われたと思った。これでいいじゃないかと・・・・・・・。

こんな事をしてしまった男を愛してくれるはずないじゃないかと・・・・・・。

ユキの事は諦めよう・・・・・そしてただの古代 進としてヤマトに乗り込もうと・・・・・・。

そうして決意した旅立ちだったのだ。

しかし佐渡によって誤解から解けたユキは進の自分への愛に再び喜びを感じてそのまま「密航者」としてヤマトに乗り込んだのだった。


それから再び二人は一緒にいた。

場所は進の自宅ではあったがユキにはあの時の怯えが戻って来ていた。

いつもと違う「漢(おとこ)」の進・・・・・・。

自分を無理やりに襲おうとしたあの時の進・・・・・・。

それを思い出すたびに身体が震えた。

「いいんだよ。ユキ・・・・・・・怯えなくても・・・・・・何もしないから・・・・・・・」

進は苦笑いをしてそっと淹れたばかりの紅茶を置いた。

「古代君・・・・・・」

「俺だって男だし・・・・・ユキを見たら欲しいって思う時もあるけど・・・・・・でもユキがイヤならいいんだよ・・・・・・・あんなに辛そうな苦しそうな顔させたくない・・・・・・・・・」

少しはにかんだように笑う進はユキの知ってる進だった。ユキの胸がドキンと高鳴った。

何を怯えていたんだろう・・・・・・・・この人は自分が一番愛している人なんだ。

自然とそう思えてユキは自分から進に抱きついた。

鍛えられた逞しい胸・・・・・・・・

その胸は自分と同じように緊張したようにドキドキと早い鼓動を打っていた。

愛しい恋しい貴方・・・・・・ユキはうっとりとした表情で進を見上げた。

その顔は女そのものだった。これほどユキから女性を感じた事はなく・・・・・・

進は自然とその顔に近づいてそっと唇に触れた。

始めてキスした時よりも・・・・・・柔らかい唇・・・・・

もっと味わいたくて口を小さくではあったが開けて進はユキの唇を味わった。

優しい口付けがユキの心を解かしていく・・・・・・愛しさが胸にこみあげてくる・・・・

力を入れていた身体から力が抜けて・・・・・・

キスが終わる頃にはユキは進に全てを預けていた。

太くて逞しい腕がゆっくりとユキの身体を抱き上げて寝室へ向かう時もユキはただじっと首に手を回したままジッとしていた。

進はゆっくりとユキをベッドに降ろした。

そして体重をかけないように慎重にそっと抱き締めた。

ユキの均整の取れた柔らかな身体が自分の下に感じられてそれだけで幸せな気分になる・・・・・・・だが胸に当たるふくよかなユキのおっぱいを感じた時進は始めて欲しいと思った。ユキの全てが欲しいと・・・・・。

真っ赤になりながらユキの顔を見ると・・・・・・・・真っ赤な顔で少し怯えたユキの瞳が目に入ってきた。その瞬間どこうとした進をユキは背中に手を回してそっと抱き締めた。

「ユキ・・・・・・」

「いいの・・・・・・・古代くん・・・私・・・・・・貴方になら・・・・・」

それだけで決意のほどが進に伝わって来るようだった。

そこまで言わせた自分に腹を立てながら進は小さく頷いてもう一度ユキにキスをした。

柔らかい唇を十分に味わって進はそっと舌でその唇を撫ぜた。ゆっくりとただゆっくりと。

「ん・・・・あ・・・・」

小さくではあったがユキが声を上げて口を開いたので進の舌はスルッと中へ入って行った。熱くて濡れたような感触・・・・・

驚きの余り引っ込めようとした進の舌にユキの舌が微かに触れた。

「あ・・・・あぁ・・・・」

濡れたその声はダイレクトに背筋を通って股間へと到達し・・・・・・進自身に伝わった。

それまで緊張して反応すらしていなかった自身は・・・・見る間に大きくなりユキの下腹部を圧迫した。

ビクンとユキの身体が震える・・・・・・・それは始めて感じた男であった。

今ユキは進を男として感じユキも女としてそれを受け止めた。

熱いドキドキとした熱の塊が下腹部に当たっているようだった。

進はジッとしたままユキの出方を待っていた。

怯えさせてはいけない・・・・自分は愛したいから欲しているのだとユキに知らせたかった。
進の身体の下にいるユキは愛しいほどに美しく・・・・・頬を上気させていた。

そっとその頬にキスを落として壊さないように優しく抱き締めた。

豊かな胸・・・・・キュッとくびれた腰・・・・柔らかい双丘・・・・か細い手足・・・・少し震えたユキが愛しくてたまらなかった。

進は抱き締めていた手を解いて上半身から服を脱ぎ捨てた。

今、ユキの目の前に包帯に包まれた進の上半身があった。

左肩から胸へと包帯で包まれていたがそれでも鍛えられた胸は厚く・・・・・・肩はがっしりとしていた。

ユキはそっと傷を癒すようにその包帯に包まれた身体を撫ぜた。

「ユキ・・・・・・」

「無茶ばかりするからよ・・・・でも・・・・・そんな所も好き・・・・・・・・・古代くんが好き」

ユキは微かに触れるだけのキスを包帯にした。

それが合図であるかのように進はユキの身体から服を優しく脱がせた。


     



(背景:Silverry moon light)