Xmasデート
何でこんな事になってしまったのだろう・・・
艦長代理・・・もとい、艦長古代進は悩んでいた・・・
地球にいれば二人だけのクリスマスを過ごしているはずである・・・・・
が、ここは、ヤマト艦内。
第二の地球を探す旅の真っ最中なのである。
XmasEveだという事で、生活班から小さなケーキが乗組員全員へ配られることになっている。
もちろん、艦長の古代のところにも生活班長自ら手書きのメッセージを書いて艦長室へもってきてくれた。
ぶっきらぼうな応対にもかかわらず紅茶の用意をして
「すこし休憩したほうがはかどるわよ」
小さなケーキと紅茶をトレーに載せて持ってくる。
「ああ、書類整理ばかりで疲れてしまったよ。
生活班も今日のイベントで疲れただろう?」
古代がユキに尋ねると
「うふ、大丈夫よ。
ケーキ作りは平田さんが中心になって作ってくれたんですもの。
私は一つずつ包装をしただけ」
「でも、メッセージまでつけたんだろう?」
「メッセージはね、土門君のお仕事だったの。
でもね、貴方のだけは私が書きたくて・・・」
「後でゆっくり読ませてもらうよ。
さて、もうひとがんばりするよ、ユキも遅くならないうちに休んだほうがいいぞ」
「艦長も無理しないでくださいね。
明日できる事は明日してもいいのですから・・・」
「ああ。わかった・・・
ユキ?」
「なんでしょう?艦長」
「後で、時間取れないかな?
日付の変わる少し前でいいんだ・・・」
「大丈夫ですよ、今日はもうすぐ上がりになりますから・・・」
「じゃヤマト農園に来てくれるかな?」
「わかりました。後で伺います」
そういうと艦長室を出て行った。
あれから一仕事終わらせて今ここにいる。
ここに呼び寄せてどうしようかと悩んでいるわけである。
農園の中をしばらく散策しながら食物や植物を見て回る。
野菜や、果物も少ないながら着実に育ってきている事を確認する。
農園の片隅の小さな花壇へと歩んでいく。
そこには、いろとりどりの花が咲いていた。
イスカンダルからの帰り道時間をもてあましていた古代が沖田艦長に許可を取り作った花壇である。
この航海が始まってからあまり世話をしていなかった。
「ユキだな・・・ここの世話をしてくれていたのは・・・
少し分けてもらってもいいかな?」
誰に確認を取るわけではないのに小さくつぶやいてみる。
小さな花束を作ったところで農園のドアが開く気配がした。
「艦長?いらっしゃいます?」
声をかけながら奥へと入ってくるユキの後ろからそっと近づく。
「ユキ・・・・」
片手でそっと抱き寄せてから小さな声で
「メリークリスマス」
肩越しにさっき作った小さな花束をユキに差し出す。
突然の事で驚いているユキに
「何も用意できなかったからあそこの花壇から少し分けてもらったんだ。
誰かが世話をしてくれていたおかげで、キミに渡す事が出来たよ」
と、ユキの耳元で囁く。
「・・・こだい・・・くん」
「気に入ってもらえたかな?」
「・・・・・・」
「ユキ?」
「あ、ありがとう・・・・
農園に来てくれっていわれていたから、作物に異常が出てのかと思ってしまったの・・・」
古代の腕の中で身動きもす言い訳を言うユキに
「今見た感じでは、大丈夫だったよ。
それより、花壇の手入れ大変だったろう?」
「うふふ・・・大丈夫よ、私には強い見方がいますから・・・」
「見方って・・・
あ、アナライザーと土門か・・・
まさか、土門にこの花壇俺が世話していたなんていってないだろうな・・・」
「言ってないわよ。
土門君は私の花壇だと思って一生懸命お手伝いしてくれているのよ。
でも、たまには貴方と二人だけで世話をしたいわ・・・」
「そうだな・・・息抜きに週に1回ぐらいは一緒に世話をするか・・・」
古代の言葉を聴いたユキが体の向きを変えて
「ほんと?嬉しい・・・
花壇の花たちもなんとなく寂しがっていたような気がしたの。
じゃぁ、今ちょっとお世話していきましょうよ・・・・」
「あはは・・・いいけど、疲れていないのかい?ユキは」
「大丈夫よ、古代君が一緒だもの」
ふわりと笑った顔に見とれていた古代に
「お世話もいいけどお花を見ながら少し話しましょうか?」
「そうだな、静かなクリスマスの夜って言うのもいいかもしれない・・・」
花壇の脇のベンチに座る。
今まで、ギクシャクしていたものがとけるように二人の話が弾む。
いつしかそっとユキを抱きしめていた古代がユキの頬から唇へ手を滑らせる。
小さく開いた唇へそっと口付けをして瞬間どこからともなくクリスマスソングが流れてきた・・・
あわてた古代が周りを警戒すると農園の入り口あたりから人の気配が・・・
「また、あいつらか・・・」
「うふふふ・・・
いいじゃない、気をきかせてくれているのよ、きっと・・・」
「でもなぁ・・・
明日は思いっきりからかわれるんだろうなぁ・・・」
そういいながらもユキを離そうとしない。
そんな古代を優しい瞳で見つめるユキに
「ま、人の邪魔をしてくれてんだから・・・・
明日の訓練覚えてろよ、南部、相原、大田」
大きな声で古代に名指しされた三人組は、そそくさと農園を後にした。
そのとき入り口にところにポータブルプレイヤーを落としていってしまうほどあわてていた。
静かになった農園の中では、いつまでもクリスマスソングが流れていたという・・・
FIN
ぴぃまんさんにいただいたイラストを見て即効でお話を書いてしました。
ぴぃまんさんのサイトでは、「2」のころの古代君とユキちゃんと言われておりますが、
私としては「3」のころこんな風に過ごしてくれるとよかったのに・・・と願望も入っております。
(背景:HOLYLOVE)