七夕の夜



七夕の夜

年に一度、逢う事を許された、織姫と牽牛。

今年は逢う事が出来たのかしら?

私の彼は、今地上にいない・・・

先週1ヶ月のパトロールへ出かけてしまった。

『7月7日の7時、同じ宇宙(そら)を見よう』

ちょっぴりきざな事を言った彼。

自分で恥ずかしかったのか真っ赤になり横を向いてしまった。

そんな彼の言葉がうれしくて・・・

大きな広い背中に抱き付いて

『きっとよ』と約束をした。

彼がパトロールへ出かける数時間前のこと。

あれから1週間、彼は約束を覚えているかしら?

7時まで、もう少し・・・

遠い宇宙空間にいる彼へ届きますように・・・・






今日は7月7日・・・

彼女のと約束まで数時間

今回も地上勤務ではなく宇宙空間にいる・・

彼女に悪いと思いながら・・・

だから、あんな俺らしくない事言っちゃったのかな?

『7月7日7時同じ宇宙(そら)を見よう』なんて・・

恥ずかしくて横を向いてしまった俺の背中に抱きついてきた彼女。

背中に彼女のぬくもりを感じながらの約束。

彼女と向き直り、そっと抱きしめて『必ず』と・・・

今回のパトロールへ出かける少し前のこと・・・

あれから1週間、約束忘れていないだろうな?

7時まで、もう少し・・・

地球にいるユキへ届くように・・・






同じ時間、同じ想いを・・・

二人の想いが重なるとき

空間を越えて、お互いの気持ちが伝わるのだろう・・・

同時刻にPC着信を知らせるランプがついた。

メールにはたった一言

『愛している』

『愛しているわ』

とだけ書かれていた・・





七夕の日の不思議な出来事・・・