くつろぎ(戦士の休息 T)
夜遅くに帰還した進は、ユキを起こさないようにそっと自宅のドアを開ける。
深夜1時を過ぎるころユキはもうベッドの中で休んでいる。
荷物をリビングに置き、仕事でかいた汗を流しにバスルームへ向かう。
埃と汗を流した進はバスローブに身を包んで寝室へ向かった。
ユキを起こさないよう部屋に入り進のために空けてあるベッドへもぐりこむ。
何も考えることなく眠りに落ちていく・・・
薄闇の中進が目を開けて
(今何時だ・・・)
ベッドサイドにおいてある時計に目をやろうとしたとき、リビングへ続くドアが静かに開く。
「古代くん、そろそろ起きてほしいな・・・
お天気もいいからちょっとピクニックにでも行きましょうよ・・・」
「う〜〜ん・・・今何時?」
寝ぼけた声で聞き返す進に
「もうすぐ9時半になるところ・・・
ねぇ・・・古代くんが準備できればすぐにでも出かけられるのよ」
ベッドの脇に跪き進が被っているブランケットを引き剥がす。
まぶしそうに見つめる進のほほにKissをひとつ。
そのまま抱きしめたい衝動を抑えて
「おはよう・・・ユキ。
今日の予定はピクニックに行くんだね」
「そうよ、古代くんの休暇が少ないから有意義に使わないと。
早くご飯食べてでかけましょう・・・」
そういって寝室から出て行くユキの後を追う。
簡単にシャワーと食事を済ませて・・・・
緊張感のある仕事をしていると休暇の時には何もしたくない。
それでも、どこかへ連れて行ってほしいとせがまれれば出かけていく。
そんな二人が出かけた先は、緑がいっぱいの自然公園。
公園の中を散策しては、小さな花の名前をユキに教えている進の姿が本来の姿なのかもしれない。
緑の木漏れ日の中お昼のお弁当を広げる。
「へぇ・・・これユキ一人で作ったの?
どれ?味見・・・うん、うまい!!
ずいぶん料理脳であげたみたいだね」
ウィンクひとつ雪に送って、勢いよく食べ始める。
「もう・・・一言余計です。
いつまでもへたくそではありませんよ。
ママの料理教室にどきどき通っていますから・・・」
どこにでもいる恋人同士のようにワイワイ言いながら食事を勧めていく。
ユキの手作りのお弁当を食べ終わってからの一休み。
本を読んでいるうちに、自然と眠くなってきた進は
「ユキ・・・膝ちょっと貸して・・・」
ユキの返事を聞かないうちに、柔らかくてはりのある膝の上に寝転んだ。
「え?何・・・ちょとぉ・・・」
文句を言うユキを下から見上げる進。
「たまには、いいだろう・・・ユキの膝気持ちいいんだ・・・」
半分眠りながらいう進の顔を覗き込んで
「うふふ・・・もう眠っちゃったの?
古代くんの寝顔、久しぶりに見ちゃった・・・」
優しく微笑むユキは初夏の風さへも爽やかなものに変えていく・・・
END
(イラスト:ひとみさん)
(背景:KOBEYA)