ひなまつり
あかりをつけましょぼんばりに〜♪
おはなをあげましょもものはな〜♪
ご〜にんばやしの・・・
書斎で書類作りをしていると可愛い歌声が聞こえてきた。
カレンダーで確認するともうすぐ桃の節句・・・
三人で雛人形を飾っているのだろうか・・・
もう一仕事終わるころには出来上がっていることだろう・・・
仕事が終わったのでリビングへ顔を出すと美希と美優が雛人形の前にちょこんと座っている。
「お雛様出したのか?」
「きれいだよねぇ・・・」
「うん、いつかこんなきものきてみたいねぇ・・・」
「おいおい・・・十二単なんか着たら動けないぞ・・・」
子供たちの“いつか”にあわててしまう・・・
「やだぁ・・・パパったら・・・」
「ゆめ、壊さないで・・・」
ふたりから怒られてしまう・・・
「ああ・・・悪い、悪い・・・
お雛様、ふたりだけで飾りつけたのか?」
「うん、ママは忙しいから二人でやってみなさいなさいっていわれたの・・・」
「でも、むずかしいのね・・・
座るところも決まっているんですもの・・・」
「あっははは・・・
去年までしっかり見ていたのにわからなかったのか?」
「だってぇ・・・去年まではママ一人で飾っていたじゃないの・・・」
「そうよ、お手伝いしたいって言ってもダメって言われていたのよ・・・」
「お前たちも大きくなったからママは手を出さなくなったのだろう・・・
ちゃんと説明書どおりに並べてあるか確認できているのか?」
「それは大丈夫」
二人そろって答える。
「じゃぁ、パパが確認してあげよう・・・
説明書、貸してごらん・・・」
説明書を受け取り順番に確認していくと・・・
「ほら、ここが反対だ・・・花の位置が逆だぞ・・・」
説明書を見せると
「あ、ほんとだ」
「ママにわからないように早く直さないと・・・」
ふたりで花の位置を直してところへ、
「飾り終わったのね・・・
どれどれ・・・
ふたりともご苦労様。きちんと飾れたわね」
「うふふ・・・」「あはは・・・」
三人で笑っていると
「なに?何がおかしいの?」
「なんでもないよ・・・」
「もう・・・・」
「さぁ・・・ここは二人に任せて、紅茶入れてくれるかな?」
紅茶を入れたユキがソファーに腰掛けながら
「さっきなのを笑っていたの?」
「ん?ああ、あれかい?
ユキがきちんと飾れたねって言っただろう・・・
あの少し前花の位置が逆だったんだよ。
あわてて直したところへユキが入ってきたんだ・・・」
「そういうことだったの・・・」
一言つぶやいてカップに口をつける。
ユキも疲れているのなら無理するなよ・・・
今年の雛祭りは一緒に出来ないけど・・・」
「うふふ・・・大丈夫。
今年も、ママがお料理つくりに来てくれるって連絡あったの。
だから私はのんびりさせていただきます。
でもねぇ・・・そろそろ復帰してきてくれって言われているのよ・・・」
「また、長官秘書にか?」
「ん・・・育休まだ残っているのだけど・・・
晶子さんもそろそろ三級に入りたいそうなの・・・
二人も抜けてしまうと秘書室てんてこ舞いになるみたい・・・」
「ユキもそろそろ移動願いだすつもりなのだろう・・・?」
「そうなのよねぇ・・・
晶子さんが戻ってきてからの移動になりそうだわ・・・」
「復帰は4月からか?」
「そうなると思うわ。
また進さんに迷惑かけてしまうかも・・・」
「俺より、森のお義母さんだろう・・・大変なのは・・・」
「ママは、楽しんで手伝ってくれているの。
あの子達のお迎えにも行きたがるんですから・・・」
雛人形の前でなにやら遊んでいる子供たちのほうを見る。
「ま、手がかかるのは一人だけだから・・・」
「そうなの・・・それも困るのよね・・・」
そういったとき、おくから泣き声が聞こえてきた・・・
「あらあら・・・起きちゃったみたいね」
そういって奥の部屋へ入って行ってしまった・・・
ふたりの娘たちは、嬉しそうに歌を歌っている。
来年は悪戯小僧を囲いに入れておかないと行かないな・・・
END
(背景:Queen'sFREE
World)