〜Surprise Party!〜3
すっぱぁ〜〜〜〜〜ん!!すっぱぁ〜〜〜〜〜ん!!
放り出され、ようやく袋から這い出てきた古代は・・・・・・目が点になった
いきなりクラッカーの祝砲を浴びせられたのである。
一発や二発ではない。四方八方から浴びせかけられたのだ。
クラッカーから飛び出した紙ふぶきと紙テープで、古代は頭から紙まみれになってしまった。
その姿に大笑いのギャラリー・・・そこは展望室のど真ん中だった。
「真田さ〜〜ン。このクラッカー、紙ふぶき多すぎましたよ〜!!」
「悪いがそいつを作ったのは俺ではない。若い連中が嬉々としてやっていたぞ」
「これは一体なんなんだ??」
この期に及んでも未だ自分の置かれた立場に理解ができない古代であった。
「お前、今日が何の日か・・・・覚えていないのか?」
「今日ぉ〜〜〜〜?今日って・・・・なんかの日だったか?」
「お前・・・・マジで言ってるのか?」
「古代さん。今日は何月何日ですか?」
ビデオカメラを手に古代の顔をズームアップしながら相原が尋ねた
「今日って・・・7月21日・・・・だろ?・・・・・!!!」
「HAPPY BIRTHDAY!!!古代!!!」
周りから一気にはやし立てる声が響いた。
「あっは・・・・忘れていた・・・・」
古代は今まで自分が怒っていたことも忘れ・・・・思わず泣きたいような気分に陥った。
自分の誕生日・・・・・
>両親が亡くなってから祝うこともなくなっていた誕生日・・・
兄はプレゼントを店に託けて贈ってくれていたが、開ける気にもならず・・・それらはそのまま地
下都市の一人過ごした部屋に無造作に置かれていることだろう・・・・
こんな賑やかな・・・そして晴れやかな気分の誕生日は久方ぶりだった。
うれしいような・・・・気恥ずかしいような・・・こそばゆい気分だった。
「しかし・・・・・古代・・・・お前って・・・似あわねぇな・・・・正装が・・・」
島に指摘されて、古代は初めて自分の姿に気がついた。
そうだった・・・・彼は日頃着慣れている戦闘班長の制服を引っぺがされ・・・・今身にまとっている
のは・・・・
ダンディなタキシード・・・・モドキ★
「なんなんだ?この格好」
古代はうろたえた。
「こんな服どこから調達してきたんだ??」
「真田さんの新作のモデルだよ。」
古代の素っ頓狂な声が聞こえたのか?
少しはなれたところで、グラスを傾けていた真田がにこやかに合図を送ってきた。
「なんでも、オートメーションで制服を裁断縫製加工する機械を作ろうとして、ついでに他のデザインもセット次第で作成可能にしたんだと・・・んでそいつの試作品がそれだ。」
「なんだってそんなもんを・・・」
「戦闘中にどうしても破れたりする制服が多いだろ?機能上、繕うわけにもいかないし、かといって何枚必要かわからないのに予備を大量に乗せて置くわけにもいかん・・・
ということは、そんなら必要に応じて作っちまえというわけで・・・さすがは、『こんなこともあろうかと』の真田さんだよな?・・・・とと・・・・ちょっとタンマ・・・」
その時、生活班らしい女性乗組員が島の耳元で何かを告げた。
「古代、誕生日プレゼントの準備ができたらしいぞ♪」
「お・・・・おい!これ以上何を仕出かそうとしているんだ!!!」
島はそういうと、嫌がる古代の腕を強引に引っ張って入り口のドアの脇に立った。
「じゃ、古代艦長代理。みんなからの心ばかりの誕生日プレゼントを受け取ってください」
先ほど、島を呼びにきた生活班員がドアを開けた。
そこには・・・・
「誕生日、おめでとうございます・・・・艦長代理」
白いフレアドレスを身にまとった、生活班長森ユキが、ワゴンにケーキを乗せて立っていた。