Surprise Party


どうもおかしい・・・・

古代は自分の指定席・・・・このヤマトの第一艦橋の戦闘班長席に腰をかけ、外に広がる宇宙空間を見るとはなしに眺めながら考えていた。

ここ2,3日・・・・他の乗組員達の様子がどうもおかしいのである。(特に第一艦橋のメンバーが)何かと自分をここに閉じ込めておきたがって、本人達は消えうせている・・・

(今日だって本当なら島が当直当番のはずなのだが・・・・「今度必ず埋め合わせをする」とか抜かして強引に押し付けられた。ちなみに今日のパートナーは徳川さんである)

“何をたくらんでやがる・・・あいつら・・・”

あのメンバーが暗躍しているということは絶対に何かあるに違いない・・・・

古代・・・どうした?浮かない顔をして」

今まで自席のチェックボードで機関部の簡単なチェックをし終った徳川が気がついたように顔を上げた。

「もうガミラスの攻撃もないからそんなに集中して外を睨みつけていなくても大丈夫だぞ。

古代・・・自動航行の上にちゃんとセキュリティーも真田君がセットしていってくれておるからなァ・・・・?」

のんびりした口調で話しかけてきた。

「睨みつけって・・・・そんなつもりありませんよ。徳川さん」

徳川に痛い所を突かれて思わず、古代はそっぽを向いてボソッとつぶやいた。

「徳川さんはご存知じゃないんですか?あいつらが何をたくらんでいるかって・・・」

「いや・・・わしは何も聞かされてはおらんぞ・・・・今日の当直を代わってやっただけじゃ・・・南部のな・・・」

「徳川さんは南部ですか?」

「ハッハッハ・・・ま、当直といってもただここでのんびりしておるだけじゃからな・・・・」

そういうと、徳川はおもむろにゲーム番を取り出し・・・

「古代、一局相手をせんか?」

と古代の席まで持って来た。

「やですよ。当直中ですよ・・・・どうしたんです?今日の徳川さん、変ですよ?」

そうなのだ・・・いつもなら少しでも気を抜いていると怒号を飛ばしてくる徳川が今日は・・・自分から息抜きを誘ってくる。

こうなると、さすがに鈍い古代も気になってくる。

「ま、いいじゃろう・・・たまにはのんびり当直をしてもじゃなァ・・・」

「徳川さんらしくありませんね・・・絶対に何か知っていて隠して見えるでしょ?」

「さぁなぁ・・・・わしゃ〜何も知らんよ」

痛い所を突かれたのか・・・・徳川はそそくさと後ろを向いてしまった。

すっとぼけるその背中に思わず、“この狸ジジィ!!”と心の中で叫ぶ古代であった・・・・

どうやら、古代だけが蚊帳の外で、他は全員・・・・同調をしているらしい・・・・

今のところ・・・・・平和な時間が流れている第一艦橋・・・・

と、いいつつ、例外一人・・・

なんとなく、落ち着かず一人イライラする古代であった。



その時である・・・

艦内マイクの点滅と共に、コールが艦橋内に鳴り響いた。コールの先は・・・食堂?

「はい!こちら第一艦橋、古代・・・喧嘩の仲裁なら他のヤツに頼んでくれ」

食堂からのコールだから・・・どうせ、暇をもてあました誰かと誰かが大喧嘩でも始めたんだろう・・・・

と古代はのんびりと、応えた・・・

しかし・・・・

「古代!!古代か?!」

「島っ?!」

コールに出ていたのは、航海長の島だった。

声の調子が上ずっている・・・いつもの島の感じとは明らかに違っていた。

「何かあったのか?」

古代は身が引き締まるのを感じながら改めてマイクに向かった。

「古代!すぐに食堂に来てくれ!!大変なんだ」

島の声は緊張に満ちて・・・・明らかに何かあったように感じさせた。

「何があったんだ?島」

「ちょっと、説明し辛い状況なんだ・・・とにかくすぐに来てくれ!俺ではどうにもできそうもないんだ!!わっ!!おい!!ちょっと待て!!!・・・・・・っ!!!」

いきなりマイクからの島の声は途切れて切れてしまった・・・。

何があったのか?また「地球がどうなっているかわからん」とか抜かしてバカが騒ぎ始めたか?

しかし・・・今は地球への岐路・・・・いままでそんな兆候すら見えなかった・・・・・はずだが・・・・俺がその兆候を見落としていたのか?

「徳川さん、すみません・・・ちょっと食堂へ様子を見に行ってきますっ!!!」

古代は徳川の方を見ることもなく、第一艦橋を飛び出していった・・・

もし・・・ここで、古代が徳川の方を顧みる位の余裕があったのなら・・・・

笑いたいのを堪えたような複雑な表情をした徳川の珍しい姿を見ることができたであろう・・・・







その頃食堂では・・・・

「さて・・・・お膳立ては揃った。すっ飛んでくるぞ!持ち場はいいか?」

手にしたマイクをサッサと戻し、島は後ろに陣取った連中に声をかけた。

「島さん・・・・あんたって・・・・児童劇団にでも所属した経験があるのか??」

腕を組んだ太田が上目遣いで恐いものでも見るかのような顔をしていた。その組まれた手には・・・・妖しげなでかい袋があった。

「いや?せいぜい学芸会の主役くらいだが?そんなに迫真の演技だったか?」


島はニヤっと笑いながら自分も所定されたポジションへと待機した。

“こいつの尻には黒い尻尾でも生えているんじゃないのか?”



             



そこに待機した連中・・・(体格・体力がヤマト艦内でもTOPクラスの連中&戦闘班の有志)は異口同音のことを考えていた・・・・・。


「ほら!そろそろヤツが飛び込んでくるぞ!電源を切るんだ!!」

電源が切られて・・・・食堂が真っ暗になった・・・・




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