バレンタインには・・・
こちらのお話は、「古代君とユキのページ」に投稿させていただいたお話です。
あいさんのオリジナルのキャラのお名前をお借りしています。
クリスマスにもらった指輪のお返しをしたくて何にしようか考えているの。
チョコレートやケーキを手作りであげてもいいのだけれど・・・
これは絶対失敗するとわかっているし・・・
ふぅ・・・溜息ばかり出ちゃう・・・
ママに相談しても笑っているだけだし彩乃に相談しようと思っても忙しそうにしているから相談できない・・・
あっ、そうだ。あの人なら相談に乗ってくれるかしら・・・
突然うかがったりしたらだめかなぁ・・・
なんて考えていたら着いちゃった。
ビルの中のデザイン工房のドアをノックしてみた。
トントン・・・
暫くして中から声が聞こえてきた。
「開いていますからどうぞ」
聞き覚えのある声、よかった、マコさんいてくれた。
「突然すみません。森 雪といいます。木村まことさんいらっしゃいますか」
恐る恐る声をかけてみると、
「雪さん、お久しぶりですね。今日はどうしたのですか?」
ニコニコしながら話かけてくれた。
「ええ、実は、クリスマスにもらったリングのお返しを古代君にしようと思ったんですけど、何にしていいのかわからなくなってしまったので・・・
ちょっと相談に乗ってもらいたくてきたのですけど、お忙しいですか?」
突然尋ねてきたのにまことさんは、
「昨日までは忙しかったけど今は大丈夫ですよ。そんなところに立っていないでこちらへどうぞ」
そういってイスを勧めてくれた。
「それで、相談ごとって何ですか」
優しく微笑まれるとこっちがドキドキしちゃう・・・
「古代君に、何か手作りのものをバレンタインのプレゼントに送りたいのですけど、私って結構不器用なんです。それで、私にも簡単に出来るアクセサリーってありますか?」
自分が不器用なことを人に言うのは恥ずかしいけど隠していてもしょうがないのでおもいきって聞いてみた。
「アクセサリーですか。進君ってそういうものつけるひとかな?」
そう聞かれて
「いいえ、つけているところ見たことありません。
それで、キーホルダーみたいなのだったらお家の鍵につけてもらえると思って・・・
キーホルダーも作るの大変ですか?」
ちょっぴり不安になってしまう・・・
「いいえ、そんなことありませんよ。
今では簡単に作ることの出来るキッドもあるし、今時間があるなら作って見ますか?」
そういわれとも・・・どうしようか考えてしまう・・・
「そんなに難しく考えないでやってみましょう。
あちらのテーブルに用意しますからどうぞこちらにいらしてください」
まことさんに勧められたテーブルに着くと、
「これはね、シルバークレイというものです。
粘土状になっているので好きな形を作ることが出来るので初めて作る人には大変便利なものですよ」
渡されたものをじっと見つめていると、
「どんな形でもいいのですよ、雪さんの気持ちがこもっていれば進君だって喜ぶと思いますよ。
物は試しだと思って作ってみましょう」
「はい」と一言だけ返事をして粘土をこねてみる。
丸めて、延ばしてりして何とか形になってきた。
「どう?出来たみたいだね。
初めてにしては綺麗に出来ているから、これを仕上げてみようね。
デザインは・・・二人のイニシャルでも入れる?」
そう聞かれて頷いてしまった。
まことさんが私の作ったものに合うようにデザイン画を変えてくれた。
それをそっと出来上がったものの上においてなぞっていく。
一生懸命になぞって描いたのにやっぱりちょっと変・・・
ふぅっと溜息ひとつついたところに、
「お疲れ様。今からそれを釜に入れて焼くけど、ちょっとその前に・・・」
何をしているのか覗いてみると、丸い小さな穴を二つあけていた。
「焼きあがってからこれを入れるところを作っていたんだ」
見せてくれたのは、小さな小さなガラスの玉のようなもの。
「ほんとは二人の誕生石のほうがいいのかもしれないけど、急だったからここにおいてあるクリスタルビーズを入れてみるとまた違ったものに見えてくるよ」
そういいながら釜のあるところへ案内してくれた。
「高温で焼くから直ぐ出来るからもうちょっと時間大丈夫ですか」
そう言われて時計を見ると5時少し前。
「えぇ、あと一時間ぐらいなら・・・」
「それじゃあ、頑張って作ってしまいましょうか。14日に進君に渡したいのでしょう?」
そう聞かれて頬が熱くなる。
焼きあがったものが冷める前にクリスタルのビーズを入れる。
「火傷しないように気をつけてくださいよ。怒られるのは、僕なんですから・・・」
冗談混じりに言ってくれるまことさんに
「はい、気をつけます・・・・・・入ったぁ・・・これでできあがりなの?」
隣でニコニコ笑っているまことさんが
「後は磨いたらおしまい。この布で丁寧に磨いてみて。くすんでいるのが取れて銀色になっているはずだから・・・」
言われた通り磨いてみると
「きれい・・・これほんとに私が作ったの?古代君喜んでくれるかしら・・・」
「大丈夫ですよ。雪さんの心のこもったプレゼントですから、進君喜びますよ」
「ほんとにありがとうございました」
お礼をのべて工房を後にする。
バレンタイン当日、宇宙から帰ってきた古代君を迎えに宇宙港へ。
早く出てこないかなぁ・・・
きっとビックリするかしら・・・
あっ、やっと出てきた。
「古代く〜ん、お帰りなさい」
「ただいま、雪」
いつもの挨拶、そしていつものデートコース。
お食事して古代君のお部屋に・・・
ソファーでくつろいでいる古代君へ、
「はいこれ、バレンタインのチョコレート」
古代君気に入ってくれるかしら?
「サンキュ、あれ?チョコ以外のもあるけど、どうしたの?」
「うふふ、開けてみて。気に入ってくれるといいのだけど・・・」
ガサゴソと包みを開けている。
箱の中から出てきたものを見つめて、
「これ、雪が作ったの?」
やっぱりへたくそなのかなぁ・・・
「うん、初めて作ったからちょっといびつだけど・・・ キーホルダーなら使ってもらえるかと思って・・・」
「雪らしくていいよ。ひとりで作ったのかい?」
やっぱり言わないといけないかな?
「ううん、一人じゃ出来なかったわ。古代君のお友達のまことさんに手伝ってもらったの。
プレゼント考え付かなくて相談に乗ってもらったの。
そうしたら私でも出来るって言ってくれたから挑戦してみたんだけど・・・」
気に入らないのかな?
「へぇ、マコのところで作ったの。あいつもいろんなことに手を出しているからなぁ・・・。迷惑かけなかった?」
「大丈夫だったわよ。失敗しなかったんだから。気に入らないなら返して」
文句ばかり言うとあげないぞ!
「おっと、もらったものは返せませんね」
そう言って鍵に取り付けている。
「よく見るとこれ、イニシャルだよなぁ。雪らしくってとってもいいよ」
そっと抱き寄せられてキスしてもらっちゃった。
今年のバレンタインは成功かな?