〜〜〜〜〜〜〜 笑顔(重なる微笑み) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜


                               KONさん
                                 監修 こんさん



「いないのは判ってるのに…また来ちゃったよ…」
古代は小さくつぶやくと苦笑いした…

第二の地球を探しに旅立ってからすでに1ヶ月が過ぎようとしていた…

ヤマトの艦長という重責を背負い、日々の過酷な任務から
開放された時には誰にも告げず一人ここに来ていた。

…ヤマト後方左舷カタパルト…

ここは真田澪が自分はサーシャだと打ち明けた場所…
あの時の笑顔が忘れることができない…
だが父である守の死を告げた後のサーシャの消えうせた笑顔…
泣きながら小さく震える彼女の体を抱きしめるのが精一杯だった…
その彼女もここにはもういない…
…俺が兄さんの代わりとしてしっかりしていれば…
残るのは後悔ばかりだ…

「どうしたの?古代くん」
ユキが心配そうに駆けつけた。

「…ああ。」
だがそれっきり古代は黙ってしまった…

2人の間に宇宙の静寂が漂う…

「ユキ、実は…」
「ここでサーシャちゃんに会いに来たのでしょ。」
「!…どうしてそれを…」

先の暗黒星団との戦いで地球に帰還してからも古代はこれだけは
ユキには話していなかった。
血が繋がっていたとはいえサーシャからの求愛に答えきれず
結局は彼女を失ってしまった事の重大さに…
…彼女を守れなかった自分が…愛する人を守れるのだろうか…
…それが怖くて…話すことができなかったのだ。

「真田さんが心配して私に話してくれたの。サーシャちゃんのことで
今も古代くん自分自身を責めているじゃないかって…。
…ずっと元気なかったでしょ?笑っているときも本当の笑顔じゃない。
真田さん言ってたわ…このままでは仮の親だった私も辛い…
でも私からはどうすることもできない。君が古代くんを守ってやってくれって。」

「そうか…真田さんには悪いことしたなぁ…ごめんユキ。心配かけちゃって…。」

「…いいのよ。それより第二の地球探し。頑張ろうね。古代艦長♪」

その瞬間…
ユキの微笑みがサーシャと重なった…
(頑張ってね。おじさま♪)

…そうだ…俺には守るべき人がいるんだ…愛するユキと…
…サーシャが命を掛けて救ってくれた美しい地球とその人々を…
その地球が危機に瀕し、これからも人々が支え合って生きていける為にも
俺達は旅立ったのではないか。

「…うん。頑張るよ。」

古代に久しぶりに笑顔が戻った…
目の前にいるユキに…そして宇宙の彼方のサーシャに…

それは優しく希望に満ちた本当の笑顔だった…

〜〜〜〜〜〜〜〜   fin   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜